Covid-19メモ

アゼラスチン点鼻薬はSARS-CoV-2負荷を減少させる可能性がある

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プレプリントサーバー「 Research Square」に掲載された論文では、アゼラスチン点鼻薬による早期治療が、ウイルス感染者の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)負荷を下げる可能性を示している。

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結果
研究の結果、SARS-CoV-2の初期負荷量は、オープンリーディングフレーム1a/b(ORF 1a/b)遺伝子のlog10 6-85 ± 1-31コピー/mLであることがわかった。この結果は、2020年秋の研究準備期間中に実施した文献評価に基づくと、予測される平均ウイルス量log10 5.5 ± 3.00 copies/mLに対して高いものであった。さらに、SARS-CoV-2 Alpha 変異体は、ほとんどの研究参加者に存在した。

投与1日目(ベースライン)から11日目まで、ウイルス量は3群とも徐々に減少し、2週間の自然なSARS-CoV-2のクリアランス期間に類似していた。注目すべきは、11日間の治療期間を通してのORF1a/b遺伝子検出に基づくウイルス量の減少を示す曲線下面積(AUC)分析で、プラセボ群に比べ0.1%アゼラスチン群でかなり高いウイルス量の減少が見られたことである。

プラセボ群と比較して、0.1%群のウイルス量は、最初のサイクル閾値(Ct)値が25未満の患者のサブグループにおいて、4日目に有意に低下した。PCR 陰性は、アゼラスチン投与群ではより早く、より頻繁に現れた。8日目にはプラセボ群の0%に対し、0-02%群では21-43%、0-1%群では18-52%であった。

そのほか、有害事象の発生頻度はすべての治療群で同程度であり、安全性に問題はなかった。なお、アゼラスチンのよく知られた苦味について訴えた患者さんは1名のみで、治療コンプライアンスは全群で同一であり、味が治療コンプライアンスに悪影響を及ぼさないことが示唆された。

全体として、著者らは、本試験結果がazelastineの抗ウイルス性を示すものであると述べている。

結論
今回の概念実証研究は、COVID-19陽性患者において、アゼラスチンの経鼻投与がウイルスの侵入と複製を阻止することによりウイルス量を減少させ、その後の地域社会におけるウイルス伝播に大きな影響を与える可能性があるかどうかを明らかにしようとするものであった。本試験では、アゼラスチン塩酸塩点鼻薬が、鼻腔内のウイルス量の減少を早め、COVID-19患者が経験する症状を緩和するのに有効であることを示す、ヒトでの初めてのエビデンスが明らかになった。

今回の知見は有望なものであるが、その裏付けとなる追加的な調査が必要である。実際、著者らは、今後の研究では、さまざまなリスクおよび年齢層の人々や、症状の強さが異なる人々を含めるべきであると述べている。

今回の試験はサンプル数が少ないものの、研究者らは、今回の知見は現在計画されている第3相試験のための強固な基盤を提供するものであるとしている。さらに、アゼラスチン点鼻薬が症状の重症度やCOVID-19の重症化への進展にどのように影響するかは、この第3相試験において、より多くの患者群で検討される予定である。