新しい一酸化窒素点鼻薬(NONS)治療によるSARS-CoV-2のクリアランス促進。無作為化試験
- Tandon, M., Wu, W., Moore, K., Winchester, S., Tu, Y.-P., Miller, C., Kodgule, R., Pendse, A., Rangwala, S., & Joshi, S. (2022). SARS-CoV-2 accelerated clearance using a novel nitric oxide nasal spray (NONS) treatment: A randomized trial. The Lancet Regional Health - Southeast Asia, 3, 100036. https://doi.org/10.1016/j.lansea.2022.100036
概要
背景
高リスク者におけるCOVID-19の病勢進行を抑制するためには、容易にアクセス可能な外来治療の追加が不可欠である。特に、世界的なワクチン接種の増加にもかかわらず、ウイルスが変異し続け、感染力が増しているためである。
研究方法
無作為化、二重盲検、多施設、並行群、プラセボ対照の第III相臨床試験で、一酸化窒素(NO)の鼻腔内SARS-CoV-2 RNAを迅速に駆除する能力を評価した。軽度の症状を持つCOVID-19の成人(18~70歳)が、実験室でのSARS-CoV-2逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)鼻腔スワブで確認され、無作為に割り付けられた。無作為化は1対1で行われ、NONS(N = 153)対プラセボ(N = 153)であった。鼻腔スプレーで生成されたNO(NONS)は、1日6回、1鼻孔あたり2スプレー(液量0・45mL/回)として7日間自己投与された。ワクチン未接種、45歳以上、合併症を有するなど、病勢進行のリスクが高い患者を主要解析集団とした。
結果
全体として、ベースライン時の平均SARS-CoV-2 RNA濃度(NONS群6-96 log10 copies/mL、プラセボ群7-16 log10 copies/mL)は同程度であった。主要評価項目であるベースラインから治療終了時(EOT)までの平均治療差SARS-CoV-2 RNA変化は、NONSがプラセボに比べ-0-52 copies/mL(SE 0-202、95%CI -0-92 to -0-12;p = 0-010)であった。副次的評価項目として、EOTまでにSARS-CoV-2が消失(RT-PCR陰性)した患者の割合は、NONS投与群(82-8%)がプラセボ投与群(66-7%、p=0-046)と比較して多く、ウイルスRNAが検出されなかった時期はプラセボに比べて4日早く(3 vs 7日、p=0-044)、中央値で有意に高かったことが示された。